A.I.lab(エー・アイ・ラボ)- 人間の、人間による、人間のための人工知能メディア

人工知能の考察、ディープラーニング、機械学習、各種アルゴリズムなど。

今さらながら知っておきたい人工知能の代表的な技術分野と2016年の投資分野について

人工知能という言葉が足早に拡がってゆく昨今、実際にどのような分野で活用できて、どのような可能性を秘めているのか、まだまだわからないことが多いという方が多数いらっしゃるのではないでしょうか?

単純に「すごい技術」や「これからの時代を牽引する研究分野」とだけ認識するのではなく、具体的にどのような分野があって、どのように活用されているのかを知ることでみなさんの日常のビジネスに役立てていただくことを期待します。

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定義が広すぎてわかりづらい人工知能の分野

まずは人工知能の研究分野を一つずつ見ていきましょう。

人工知能の技術分野

1 - 機械学習

言わずと知れた今話題の技術分野ですね。ディープラーニングなどはこの機械学習の技術の中で比較的新しい技術という立ち位置です。ディープラーニングは情報の特徴を何層もフィルターに通すことで、従来よりも正確な答えを導き出せるようになったということから、近年、期待と注目を集めています。人間でいうと脳の代替という感じでしょうか。

2 - 画像認識

画像データをコンピュータに理解させる技術です。画像の内容を理解させる画像理解と明るさや色を変えたりする画像処理に大別されます。最近ではGoogleの猫認識の研究やモノクロ画像をカラー化するといった技術などもでてきている分野です。人間で言えば視覚にあたるものです。

3 - 音声認識

人間の声や日常の中の「音」をコンピュータに理解させるための技術です。実用レベルではカーナビシステムやスマートフォンのアシスタントに活用されています。この先、音声入力や音声認証などの技術が発展していき、デバイスさえ変わってくるのかもしれません。人間で言えば聴覚に代替する技術といったところでしょうか。

4 - 感性処理

認知科学や人間工学の知見をベースに、感覚をコンピュータ上に実現しようとする分野です。例えば、気まずい空気、楽しい空気、など状況を理解させようということ、それから単純に触覚として暖かい、冷たい、または圧力を感じる圧覚など。ロボットの分野などで応用されています。

これらが挙げられます。細かく分類していくともっと多数の分野に切り分けられるようですが、頭の中を整理しやすくするために、人間の五感に対応させて整理してみました。

嗅覚も人間にはありますが、人工知能という分野では一部でしか研究が行われていないようです。確立されていないといって良いと思います。これから人工知能のビジネスに参入される方にとってはチャンスがある分野かも知れません。

2016年の人工知能投資分野についての所感

人工知能の実用化という観点でいえば、まだまだこれからといえると思いますが現在日本において人工知能システムの開発を行っていたり、投資を受けている会社を分析すると、特定分野のアルゴリズムを持っていたり、高精度な画像認識技術を有していたり、ビッグデータとの連携先を持っていたりすることで特殊技術と評価されている傾向があります。

また、異常検知の分野など、24時間人間が張り付いているのが現実的ではない分野では早期から実用化されているようです。

ビジネス的な観点でいえば、人工知能ビジネスの競争力は、本質的にハードウェア性能とビッグデータの保有という2点だと考えられます。あとは何に活用するかといった企画力なども挙げられますが、それは本質的な競争資源にはなりません。

つまり、基本的には大企業や研究所レベルでの発展を必要としており、小さい企業ができるレベルの技術というのは実質的に制限されている状態といえるというのが所感です。

そのため、小さい会社は何を目指すかというと、斬新な企画力で地道に開発を続けていくか、コアな技術力で勝負するというのが現実的なのだと思います。例えば、より汎用性を増すために軽量化にとことんこだわる、あるいはディープラーニングに変わるもっと正しい答えを導き出す(そうとう難しいことだとは思いますが・・・)など、飛び道具が必要なのだと思います。

これからサーバー環境などは今と比べると安価になっていくと推測できますが、まだまだ開発の一般化は先のような気がします。大きい組織がつくった技術を大勢が使うという図式が続きそうです。

とはいえ、世の中が便利になっていくことはとても良いことですね。人工知能に人間はとって変わられるなどと危惧する声もありますが、共存するパートナーとなることを期待したいと思います。