人工知能が小説を書く時代?!ヒトのココロに呼びかけるコンテンツビジネスはどう変わる?
様々な場所で、小説を書く人工知能の研究が行われています。最近では「NASAと協業して宇宙小説アプリをリリース」といったニュースなどもあり、これからのコンテンツ生成分野について期待が高まります。
人工知能が文章をつくりだすという分野についての研究は、下記のようなプロジェクトを通して知られています。
- 星新一のショートショート全編を分析し、エッセイなどに書かれたアイデア発想法を参考にして、人工知能におもしろいショートショートを創作させることを目指すプロジェクトです。
- Wordsmith
Automated Insights社が開発した人工知能システム。たくさんのデータを取り込み、分析をおこなうと、自動で人間が読める文章に書きあげることができる。
ここで、実際に人工知能が書いた小説の書き出しを見てみましょう。
私の仕事は工場のラインに入り、決められたルーチンをこなすこと。 毎朝同じ時間に起き、同じ電車で仕事場に向かい、同じ作業をして、同じ時間に帰るだけ の毎日。最近は景気も悪く、出勤しても手持ち無沙汰である。 真新しいことなど何もなく、面白いと思うことも悲しいと思うことも、最近はない。まるでロボットのようだ。いや、いっそロボットになってしまいたいと思う
『私の仕事は』みかん愛
いかにも、人間が書いた文章のように見えます。
このような文章を生成するためには、ひとつひとつの単語の意味を学習し、それらの関係性に伴う使用ルールを判断することが必要です。人間は瞬時に高度な判断を行っていることは忘れがちですが、なかなか人工知能から知性を感じることができないという課題は、複雑なプロセスを経由してアウトプットするのがいかに難しいのかということを意味しています。
さて、ここからが本題です。
今後、このような文章や言語を認識する人工知能が普及した場合、既存のビジネス、あるいは消費者はどのように変わっていくのでしょうか?
たとえば、コンテンツマーケティングが主流になり、オウンドメディアの立ち上げがさかんに行われるようになった現代のメディアについて考えてみましょう。
まずは人工知能が文章を書けるようになることでのメリットとデメリットを整理していきましょう。
消費者のメリット
- 情報の流通速度が今以上に高速化し、本当の意味でリアルタイムに情報を取得することが可能に
- より幅広い分野で機関誌並の分厚い情報量を得ることができ、ニッチな分野でも用意に情報を得ることができる
消費者のデメリット
- プライバシーに対する配慮や不適切な文章も増える可能性があるが、それは割合の問題なため必然的である
運営者のメリット
- コンテンツを提供するコストが劇的に削減できる
- 自社の特性に合ったコンテンツを迅速且つ適切に伝えることが可能になる
運営者のデメリット
- 優位性を得ることが難しくなる
- 当たり前のこととなり、コンテンツの価値あるいは市場価格が下がるため、メディアなどコンテンツが生命線のビジネスにおいてはよくないのかもしれない
人工知能が文学的な能力を備えるということは、同時に言語に関わるあらゆるものごとが可能になるということを意味します。
例えば、コンシェルジュのような人をサポートするといったことや、会話の中でユーモアある語りかけをしてくれることだろう。
一つ、言えることは、現在の文章によってアウトプットされるコンテンツビジネスは変化せざるを得なくなるということは避けられないのではないかと思います。
そもそも、特定の場所に情報を見に行くということをしなくても良くなるからです。
パーソナルアシスタントのような存在が適切で正確な情報をすばやく提供してくれるようになれば、当然メディアという場所は不要になります。
不思議な光景になると思われるのは、人ではない、カタチの無い何かのファンになる人がたくさん現れることになるだろうということです。
たとえば、メールだけで恋に落ちるということは、身の回りでも起こりうることです。それと同様にそこにカタチが無くても人間は支えられてしまうのです。
様々な情報は当たり前に寄り添い、それを活用していくという流れが想像できます。
それと反して、もっとリアルなコミュニケーションや体験というのは今後さらに価値を増していくのかもしれません。
結局人間は、人間によって幸せを見出し、それ以上ではないという本質的な問題にいつか直面するのだと思います。