A.I.lab(エー・アイ・ラボ)- 人間の、人間による、人間のための人工知能メディア

人工知能の考察、ディープラーニング、機械学習、各種アルゴリズムなど。

【2016年最新版】海外で注目される人工知能スタートアップのまとめ10選

日本でもドワンゴリクルートTOYOTAをはじめ、本格的に人工知能の研究を進める動きが加速する中、あらためて人工知能の活用の例を予習するために、全米で注目を集めるスタートアップを10社ご紹介します。

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人工知能分野は依然加速しそうだ。

The Grid

"グッバイテンプレート、ハローレイアウトフィルター”

Google AdSenseのディレクター、Mediumの初期のデザイナーなどによって2010年に設立されたAIスタートアップ。人工知能を用いたウェブデザインプラットフォームを提供し、クラウドファンディングでは11万5千ドルもの資金を獲得し、注目を集めた。ウェブ制作者からマークされながらも、2016年7月現在も尚、正式ローンチには至っていない。納得いく品質に至らないのか、技術的な障壁が多いのか、はたまたPR戦略か・・・正式ローンチを心待ちにしている申込者も多いのではないだろうか。

Sentient Technologies

”限りなき進化”をするAI

独自の進化するアルゴリズム、そしてディープランニングの技術を使ったAIアプリケーションの開発で知られている。2014年11月のファンディングで1億4千万ドルの資金を得たなど注目を集めている。特に金融などに注力していたが、最近では医療などに加え、E-コマースのセールスアソシエイトなどにおける人工知能サービスの開発に取り組んでいる。共同創業者のBabak Hadjatは九州大学機械学習の博士号を得ており、日本にもゆかりのあるAI企業である。

Narrative Science

人工知能が文章を執筆

イリノイ発のスタートアップは、Quillと呼ばれる人工知能ベースの文章生成プラットフォームの開発で知られており、CAIの投資部門であるIn-Q-Telなどの出資も受けている。データから自動的に文章を生成するこのサービスをマスターカード、アメリカン・センチュリー・インベストメントや英国国営保険サービスなどが導入している。文章の自動執筆は大きな需要がありそうではあるが、ジャーナリストや各分野のライターからは反発を買いそうである。

Nara Logics

誰でも使える推薦エンジンAPI

MITで脳神経科学権威であるNathan Wilson率いる、マサチューセッツ発のスタートアップ。「誰にでも使えるAI」を目指している。AIプラットフォームとして多種多様なケースでの利用を想定しており、2015年にはメガバンクなどの金融企業などとも提携を発表。彼らが開発したレコメンドプラットフォームNara.meは現在β版で稼働しており、オススメ映画やレストラン、ホテルなどを教えてくれる。

Vicarious

真実の知能を追求する。

マーク・ザッカーバーグジェフ・ベゾス、ピーター・ティール、イーロン・マスクなどなど数々の大物からの出資を受け、2014年までに7,200万ドルの資金を調達したスタートアップは「次世代人工知能アルゴリズム」を目指す。共同創業者で神経科学者のDileep Georgeは「階層的一時記憶」という機械学習モデルを考案し、Jeff HawkinsとともにNumentaを設立するが、2010年に同社をやめVicarious設立に至る。現在サムスンやロボット企業のABBなどと提携を結んでいる。

Nnaisense

超人的ニューラルネットワーク

ドイツで長年AI研究を行ってきたJurgen Schmidhuberは、Long Shot Term Memory(LSTM)リカレント・ニューラルネットワークの開発者であり、IBM
Googleどにも大きな影響を与えてきた。その彼が欧州の精鋭を集めてスタートアップしたのがこの企業。どのような分野に参入するのかその目的はわかっていないが「すごいことが起こりそう」という期待を集めるスタートアップである。

Enlitic

ディープラーニングを医療分野に。

19歳で20万ドル以上の稼ぎを得て、その後シリアルアントレプレナーとして経歴を積んできたオーストラリア人ジェレミー・ハワードの最新スタートアップは、ディープラーニングを医療分野に応用した注目株。X線MRIなどで得られたデータをAIが解析、よりよい診断・処方を目指す。ディープラーニング人工知能活用は日本でもまず注目されていく分野であることだろう。

MetaMind

自然言語処理界の新星

スタンフォード大学でアンドリュー・ングなどの教えを受けたリチャード・ソッチャーが2014年に創業。自然言語処理を専門とし、セールスフォースCEOマーク・ベニオフらから800万ドルの出資を受けた。「Dynamic Memory Network」という独自アルゴリズムによって、より精度の高テキスト読解を可能にした。

Scaled Inference

機械学習に多様性を

"Google Brain"プロジェクトのメンバーが独立、「人間並みの知性ができるまでの間、それをサポートするために役立つサービスを提供することが必要と考えている。」と見解を述べている。クラウド型のAIプラットフォームを提供することで、まだ見ぬ多種多様な「未来のアプリ」の多様性を広げたい、というのが彼らの目論見だ。機械学習を世間一般化するためのハブになることを目指す。

x.ai

アミー、これ頼むよ。

ニューヨークのスタートアップx.aiが開発したパーソナルアシスタント「Amy」は、SiriやGoogle Nowよりも使い勝手が良いと好評化を受けている。ミーティングや会合、スケジュールを自動的に決めていってくれるというだけのアプリケーションだが、映画『her』に出てくるサマンサのように働いてくれる。在籍するエンジニアにはCERNや欧州原子力センターに在籍していた猛者などが揃っているという。ソフトバンクも出資。

今さらながら知っておきたい人工知能の代表的な技術分野と2016年の投資分野について

人工知能という言葉が足早に拡がってゆく昨今、実際にどのような分野で活用できて、どのような可能性を秘めているのか、まだまだわからないことが多いという方が多数いらっしゃるのではないでしょうか?

単純に「すごい技術」や「これからの時代を牽引する研究分野」とだけ認識するのではなく、具体的にどのような分野があって、どのように活用されているのかを知ることでみなさんの日常のビジネスに役立てていただくことを期待します。

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定義が広すぎてわかりづらい人工知能の分野

まずは人工知能の研究分野を一つずつ見ていきましょう。

人工知能の技術分野

1 - 機械学習

言わずと知れた今話題の技術分野ですね。ディープラーニングなどはこの機械学習の技術の中で比較的新しい技術という立ち位置です。ディープラーニングは情報の特徴を何層もフィルターに通すことで、従来よりも正確な答えを導き出せるようになったということから、近年、期待と注目を集めています。人間でいうと脳の代替という感じでしょうか。

2 - 画像認識

画像データをコンピュータに理解させる技術です。画像の内容を理解させる画像理解と明るさや色を変えたりする画像処理に大別されます。最近ではGoogleの猫認識の研究やモノクロ画像をカラー化するといった技術などもでてきている分野です。人間で言えば視覚にあたるものです。

3 - 音声認識

人間の声や日常の中の「音」をコンピュータに理解させるための技術です。実用レベルではカーナビシステムやスマートフォンのアシスタントに活用されています。この先、音声入力や音声認証などの技術が発展していき、デバイスさえ変わってくるのかもしれません。人間で言えば聴覚に代替する技術といったところでしょうか。

4 - 感性処理

認知科学や人間工学の知見をベースに、感覚をコンピュータ上に実現しようとする分野です。例えば、気まずい空気、楽しい空気、など状況を理解させようということ、それから単純に触覚として暖かい、冷たい、または圧力を感じる圧覚など。ロボットの分野などで応用されています。

これらが挙げられます。細かく分類していくともっと多数の分野に切り分けられるようですが、頭の中を整理しやすくするために、人間の五感に対応させて整理してみました。

嗅覚も人間にはありますが、人工知能という分野では一部でしか研究が行われていないようです。確立されていないといって良いと思います。これから人工知能のビジネスに参入される方にとってはチャンスがある分野かも知れません。

2016年の人工知能投資分野についての所感

人工知能の実用化という観点でいえば、まだまだこれからといえると思いますが現在日本において人工知能システムの開発を行っていたり、投資を受けている会社を分析すると、特定分野のアルゴリズムを持っていたり、高精度な画像認識技術を有していたり、ビッグデータとの連携先を持っていたりすることで特殊技術と評価されている傾向があります。

また、異常検知の分野など、24時間人間が張り付いているのが現実的ではない分野では早期から実用化されているようです。

ビジネス的な観点でいえば、人工知能ビジネスの競争力は、本質的にハードウェア性能とビッグデータの保有という2点だと考えられます。あとは何に活用するかといった企画力なども挙げられますが、それは本質的な競争資源にはなりません。

つまり、基本的には大企業や研究所レベルでの発展を必要としており、小さい企業ができるレベルの技術というのは実質的に制限されている状態といえるというのが所感です。

そのため、小さい会社は何を目指すかというと、斬新な企画力で地道に開発を続けていくか、コアな技術力で勝負するというのが現実的なのだと思います。例えば、より汎用性を増すために軽量化にとことんこだわる、あるいはディープラーニングに変わるもっと正しい答えを導き出す(そうとう難しいことだとは思いますが・・・)など、飛び道具が必要なのだと思います。

これからサーバー環境などは今と比べると安価になっていくと推測できますが、まだまだ開発の一般化は先のような気がします。大きい組織がつくった技術を大勢が使うという図式が続きそうです。

とはいえ、世の中が便利になっていくことはとても良いことですね。人工知能に人間はとって変わられるなどと危惧する声もありますが、共存するパートナーとなることを期待したいと思います。