スタートアップのための人工知能で革新する5つの成功要因
あなたなら人工知能で何を実現したいですか?面倒なタスクや繰り返し行われる物事を自動化して、もっと便利に毎日を過ごしたいと思っている人々は少なくないはずです。
人工知能は果たして万能なのか?個人または中小企業が人工知能を利用してイノベーションを起こすことができるのか?つかめそうでつかみきれない人工知能という分野について、今日は実現を左右する5つのキーファクター(成功要因)を整理して理解して行きたいと思います。
1: 資金
人工知能の分野に参入するベンチャーやスタートアップはこぞって大型の資金調達を行っています。2015年の「メタップスが43億円の資金調達」という話題から最近では「人工知能の農業ベンチャーが7億円の資金調達」など大型の資金調達が続きます。人工知能という分野の注目度が上がっているという背景もあると思いますが、実に多くの環境整備が必要になりうる人工知能分野では、大きな資金が必要になることも少なくありません。
2: ハードウェア
現在の人工知能ソフトウェアの性能を最大限活用するためにはそれ相応のサーバー環境などが必要になります。これは、ディープラーニングをはじめとする人工知能の技法において、膨大なデータ量を扱うために強力なマシンパワーが必要になるからです。
ウェブサイトを公開するといったものとは違い、処理速度の早さやストレージが必要になるため、そうした環境を安価で提供するサービスがでてくると、一層人工知能の分野が加速するであろうということは過言ではないと思います。
3: アルゴリズム
高性能なハードウェアが安価に提供されるのが先か、低性能でも機能するプログラムや計算技法が開発されるのが先か、卵が先かにわとりが先かの議論になりますが、高性能なアルゴリズムを開発できれば、人類の進化に大きな貢献をすることは間違いありません。現在注目されているディープラーニングですが、もっと精度の高い技法が編み出されれば、根本からデータの扱い方が変わるかもしれません。良いアルゴリズムを発明することは容易ではありませんが、根本から疑い続けることが人間の脳の模倣の近道になるのかもしれません。
4: データ
昨今注目されているビジネス分野のひとつとしてDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)が挙げられます。これは企業内のデータを一元管理するための箱のようなもので、業者によってはそれらのデータをAPI化して商品化するところもあります。人工知能の基本原理は人間の脳です。人間も様々な経験を積み重ねることで賢くなります。「考える」プロセスを提供するアルゴリズムと、回答の精度を上げるための「経験」にあたるデータはいつもセットで考えなければなりません。最初に目立ってくるのは、協力な技術力を持っているプレイヤーか、膨大な事実に基づくデータを持っているプレイヤーになるというのは必然的なのかもしれません。
5: 設計
シンギュラリティ(技術的特異点)が恐れられるように、人工知能を使うのはしばらくの間、人間であることは間違いありません。つまり、人間にとって使いやすい人工知能の活用というのが必要になるということです。場合によっては、技術的には人間を超えたとしても、能力を抑えるアルゴリズムが必要になるということも考えられます。あくまでも「人間知能を活かすための人工知能」であることが必要という考え方です。
これらがなくては革新できないという訳ではありません。人工知能という分野はまだまだ未熟であり、柔軟です。
人工知能を紐解くブレークスルーが生まれ、より一般的になることで、楽しく、便利になる未来を期待してやみません。
人工知能は何のプログラミング言語で書くのが良いのか?
人工知能を何の言語で作るかについては大事な論点です。人工知能のフレームワークはPythonやC++などで書かれている事が多く、それらを使う場合は仕様に依存するということも少なくありません。
フレームワークのことについては数多くのブログで触れられているので割愛させていただき、本質的に人工知能を実装するのに適した言語は何かという視点で整理していきたいと思います。
まずは、人工知能の本質的なポイントについて考えていきましょう。
ポイントは学習データとハードウェア
人工知能という言葉が一人歩きし、「なんかすごいことができそう!」と期待するのは浅はかかも知れません。
実際には、人工知能を教育する、学習用データの質と量が精度を向上させるキモとなっています。
これは、人間も同じです。赤ちゃんの時から、誰の手にも触れず、何も教えられなければ一向に話をすることもできませんし、字を書くこともできません。誰かが教えるからいろいろなことができるようになるのです。
人工知能を実際に活用するには、このデータ量というのがとても大切です。
人工知能を十分に活かす環境を用意できるのは資本力のある組織だけという問題
もう1つ人工知能活用に必要なことは、サーバーの容量や、性能です。
例えばWebサーバーにホームページをアップして閲覧するなら、レンタルサーバーや無料のサービスなど、安価に環境を用意することができます。
しかし、人工知能を動かすには、ある程度の性能が必要です。例えば、CPUとGPUというコンピューターの頭脳のような部品があります。CPUとは、1つずつ処理を実行する頭、GPUは並行していくつもの処理をする頭、と捉えるとわかりやすいと思います。そのため、画像処理など、情報量が多いものを処理するためにはGPUが使われることが多くなります。
逆にCPUは私たちが日常的に使うパソコンなどにも搭載されている、身近なものです。
では、人工知能を処理するためには、どちらが適しているでしょうか?
答えはGPUです。もちろんCPUでも実行できますが、答えを導き出すまでの処理時間に大きな違いが生まれます。
囲碁のプロに勝ったAlphaGoですが、あの裏にはとても強力な実行環境か整っていることでしょう。つまり、個人レベルで人間のようなレスポンスで知性をもったものを作るのは、資本的に難しいという段階です。
これから、レンタルサーバーの会社などが、こうしたGPUを搭載したサーバーをコモディティ化していくのは目に見えますが、気軽に使えるようになるには、まだ時間がかかりそうです。
これらの背景から言語はCかC++かPythonが有望
人工知能の本質に迫ったことで、有望な言語というのが絞りこめます。
この3つが言語選択のベースとして考えるには適しているという結論です。
もちろん、環境によってはJavaやScalaという選択肢もあると思います。特にWebアプリケーションの開発では、フロント側とバックエンド側でベストな選択を組み合わせるというケースも多くなってくると思います。
ただ、コアな部分のプログラムは、環境とパフォーマンスを最大化できる、CやC++がベストだというのが、執筆者としての感想です。
どうする?制作会社
ここからは、視点が違う話になりますが、人工知能が普及することで、Web制作会社やフリーのフロントエンジニアはいらなくなり、この先どうする?と囁かれている問題に言及していきたいと思います。
まず、既存のWebを作るためのHTML,CSSなど、レイアウティングを司る言語の価値は下がることでしょう。Javascriptに、関しては、フロント表現に使われていくと思いますので、しばらく需要はあるのではないかというのが見解です。
つまり、Web製作のように気軽に始められる世界ではない人工知能のシステム業界に関与していくには、大きな方向転換が必要になりそうです。
ディープラーニングのフレームワークを使って作るにしても、HTMLやCSSの知識は重要ではありません、もっと高度なメモリ管理などの知識や、アルゴリズムのアイディアなどの方が需要が出てくると考えられます。人工知能業界にシステム面で飛び込んでいくのなら、覚悟を決めてサーバーサイドの言語を学び始めるのが良いと思います。
プログラミングと一緒に学んでいきたい学習分野
ディープラーニングなど、精度を劇的に高めるブレークスルーが登場したとはいえ、まだまだ成熟には程遠い技術です。
そのため、実装するだけではなく、アルゴリズムそのものを考えられる頭を作って、本質的な解決を試みるという視点も重要です。
人工知能システムの分野のハードルが高く見えるのは、必要な知識の幅が広いということがあげられます。例えば、低級言語に近い、プログラミング言語の知識、それに加えサーバーについての知識、それからアルゴリズムを理解、創造するための数学の知識はなどがあげられます。
プログラミングをやっている人ならサーバーの知識は必然的に学んでいけると思いますので、意識的に学ぶべきは数学の知識になってくると思います。数学の中でも、微分・積分、線形代数、確率、統計などの分野が関係性が深くなります。
人間により近づけるのであれば、心理学や認知科学の知識なども当然必要になったりと、スキルの幅はあげればキリがありません。
本気でやるならCかC++
言語についてのまとめとして、人工知能のパフォーマンスを維持するためには、CやC++がオススメです。もちろんどの言語がベストかというのは環境や目的によって異なってくるとは思いますが、より高度な技術力が競争力になるのは確実です。
逆にフレームワークや汎用的なものに頼っていては、システム的な差別化は難しくなり、企画力やデータ量、資本力の競争となっていき、スタートアップや開始直後のベンチャー企業は戦いづらくなるとも言えると思います。
今まで、いくつかの時代の流れがあり、インターネット(通信)、スマートフォンなど大きな時代のうねりはありましたが、ここ数年はディテールのブラッシュアップに留まっている印象でした。
人工知能はこれからのビジネスの流れとしても大きなチャンスになることを信じています。みなさまもこの機会に言語の見直しやビジネス戦略の再構築などしてみてはいかがでしょうか。
人工知能が小説を書く時代?!ヒトのココロに呼びかけるコンテンツビジネスはどう変わる?
様々な場所で、小説を書く人工知能の研究が行われています。最近では「NASAと協業して宇宙小説アプリをリリース」といったニュースなどもあり、これからのコンテンツ生成分野について期待が高まります。
人工知能が文章をつくりだすという分野についての研究は、下記のようなプロジェクトを通して知られています。
- 星新一のショートショート全編を分析し、エッセイなどに書かれたアイデア発想法を参考にして、人工知能におもしろいショートショートを創作させることを目指すプロジェクトです。
- Wordsmith
Automated Insights社が開発した人工知能システム。たくさんのデータを取り込み、分析をおこなうと、自動で人間が読める文章に書きあげることができる。
ここで、実際に人工知能が書いた小説の書き出しを見てみましょう。
私の仕事は工場のラインに入り、決められたルーチンをこなすこと。 毎朝同じ時間に起き、同じ電車で仕事場に向かい、同じ作業をして、同じ時間に帰るだけ の毎日。最近は景気も悪く、出勤しても手持ち無沙汰である。 真新しいことなど何もなく、面白いと思うことも悲しいと思うことも、最近はない。まるでロボットのようだ。いや、いっそロボットになってしまいたいと思う
『私の仕事は』みかん愛
いかにも、人間が書いた文章のように見えます。
このような文章を生成するためには、ひとつひとつの単語の意味を学習し、それらの関係性に伴う使用ルールを判断することが必要です。人間は瞬時に高度な判断を行っていることは忘れがちですが、なかなか人工知能から知性を感じることができないという課題は、複雑なプロセスを経由してアウトプットするのがいかに難しいのかということを意味しています。
さて、ここからが本題です。
今後、このような文章や言語を認識する人工知能が普及した場合、既存のビジネス、あるいは消費者はどのように変わっていくのでしょうか?
たとえば、コンテンツマーケティングが主流になり、オウンドメディアの立ち上げがさかんに行われるようになった現代のメディアについて考えてみましょう。
まずは人工知能が文章を書けるようになることでのメリットとデメリットを整理していきましょう。
消費者のメリット
- 情報の流通速度が今以上に高速化し、本当の意味でリアルタイムに情報を取得することが可能に
- より幅広い分野で機関誌並の分厚い情報量を得ることができ、ニッチな分野でも用意に情報を得ることができる
消費者のデメリット
- プライバシーに対する配慮や不適切な文章も増える可能性があるが、それは割合の問題なため必然的である
運営者のメリット
- コンテンツを提供するコストが劇的に削減できる
- 自社の特性に合ったコンテンツを迅速且つ適切に伝えることが可能になる
運営者のデメリット
- 優位性を得ることが難しくなる
- 当たり前のこととなり、コンテンツの価値あるいは市場価格が下がるため、メディアなどコンテンツが生命線のビジネスにおいてはよくないのかもしれない
人工知能が文学的な能力を備えるということは、同時に言語に関わるあらゆるものごとが可能になるということを意味します。
例えば、コンシェルジュのような人をサポートするといったことや、会話の中でユーモアある語りかけをしてくれることだろう。
一つ、言えることは、現在の文章によってアウトプットされるコンテンツビジネスは変化せざるを得なくなるということは避けられないのではないかと思います。
そもそも、特定の場所に情報を見に行くということをしなくても良くなるからです。
パーソナルアシスタントのような存在が適切で正確な情報をすばやく提供してくれるようになれば、当然メディアという場所は不要になります。
不思議な光景になると思われるのは、人ではない、カタチの無い何かのファンになる人がたくさん現れることになるだろうということです。
たとえば、メールだけで恋に落ちるということは、身の回りでも起こりうることです。それと同様にそこにカタチが無くても人間は支えられてしまうのです。
様々な情報は当たり前に寄り添い、それを活用していくという流れが想像できます。
それと反して、もっとリアルなコミュニケーションや体験というのは今後さらに価値を増していくのかもしれません。
結局人間は、人間によって幸せを見出し、それ以上ではないという本質的な問題にいつか直面するのだと思います。